こんなご相談も受けました。
設備などのグレードの割に値段が安く、建物の見た目も
周辺環境も気に入ったので建売住宅を購入しました。
住みはじめて数ヵ月後、初めての冬を迎えたある日、
床暖房は使用していないのに、いつもより床が暖かい
ことに気付きました。
今まで床暖房のある家に住んだことがなかったので、
運転させていなくても普通よりも床が暖かいものかも
しれないと単純に思っていたのですが、数日後、気に
なったので床下を点検したところ、床が暖かかったのは
床暖房のためではなく、風呂の排水が床下に流れ込んで
いたためでした。配水管の接続がズレていて、風呂から
出た温かい排水が床下一面に溜まっていたのです。
調査してみると、その土地の地盤が弱いにもかかわらず
補強工事をしていなかったため、家が傾き、その影響で
配水管がズレて水が漏れていたようなのです。
家そのものは気に入っていますので、手直しではなく、
建て直すことを考えた方が良いのでしょうか?
建売住宅を購入する場合は、外観や設備面のグレードの
高さや見た目に目がいってしまいがちです。
逆に家の基礎や骨組みとなっている構造などは、皆さん
なかなか気に留めにくいところですが、住む人が安全に、
安心して暮らすためにはコストをかけなければならない
大切な部分です。
いろいろなものに適正価格があるように、家にも適正な
価格というものが存在します。
家の見た目や設備のグレードが良いにも関わらず周辺の
相場よりも家の値段が安いということは、目に見えない
ところでコストが落とされている可能性も否めません。
このようなことにならないためには、買う前の段階で、
見えないところまで可能な限り施工の精度を確認する
必要があります。とはいっても一般の方が施工の精度を
評価するのは難しいので、建築に詳しい知人や友人が
いれば同行いただくか、数万円ほどで建築の専門家が
調査をするインスぺクションサービスもあります。
万一買った後で気づいた場合は、すぐに売主に対して
無償での修繕を依頼します。こころある業者であれば
誠実に対応してくれるはずですので、売主の評判等も
購入時の大きなポイントです。
売主が誠実に対応してくれない場合は、すぐに消費者
センターや宅建業取引協会の不動産相談所、弁護士会
などに相談してください。
重大な瑕疵であれば「住宅品質確保促進法」によって
10年間保証が義務付けられますし、建売住宅の場合は
解約も可能です。また民法でも買主が保護されており、
個々の設備に関してはPL法が適用される場合もあり
ます。
いずれにしても引渡し後、あるいは発見してから○年
というように時限が定められていますので、即行動
することが大切です。