不動産は様々な法規、権利が複雑に絡み合って成立しているため、
分かりにくい問題点が潜んでいることが少なくありません。
こうした問題点は、スムーズな取引を妨げたり家を建てる上での
制約となる事柄が多く、一般の方にとって非常にやっかいな問題
です。
環境の良し悪しや土地形、日当たりだけに目を奪われず、同時に
下記のポイントにも注目して土地探しを進めましょう。
◆境界杭、境界の位置
1つの大きな土地を2、3の区画に分けて売られている場合や、
土地を造成し新たに分譲されたような土地では、境界杭が入って
いることがほとんどです。コンクリート杭や金属標などで境界が
明示されていれば、後のトラブルも少ないでしょう。
◆道路の幅と持分
前の道路幅を計ってみて、4Mに満たないようならセットバック
(道路から敷地を後退させること)が必要です。
この場合、道路の向かい側から一方的に4Mを確保したラインを
道路境界とみなす場合と現在の道路幅の中心から2Mを確保した
ラインを道路境界とみなす場合があり、どちらかによってセット
バックの面積に差が生じます。なお、後退した部分は、建築する
際の面積に含むことができません。
前の道路が私道の場合は、持分(所有する権利)を確認しておく
ことが重要です。万一、私道に持分がない場合には、工事車輌の
通行不可や、工事のための掘削ができないことがあります。
◆上下水道・ガス等の設備
敷地内に、水道メーターや排水枡、ガス栓を確認することができ
れば、まず多額な費用が掛かることはないと考えていいでしょう。
ただし、配管等の設備がそのまま使用できる状態と、古い設備を
入れ替える必要がある場合があります。
過去に建造物をたてたことがない更地では、配管が引き込まれて
いないことが多く、新たに前の道路から敷地内までの配管を引き
込む費用が必要になります。
◆周辺の建物の様子
建築の制限は、数値で示されてもなかなかイメージしにくいもの
です。
周囲の建物をよく観察すると、どのような規制がかかっていて、
どれ位の範囲なら建物を建てることができそうかという検討が
しやすくなります。特に都心部では「高度地区」の制限が厳しく
掛かっている地域が多いため、付近の建物の「屋根のライン」を
目安にして建物の規模を推測してみましょう。また、すぐ近くに
高層マンションや商業施設が建っているなら、建蔽率・容積率が
高い地域かもしれません。
周りに鉄筋コンクリートの建物ばかり建っていたら、その地域は
防火地域なのかもしれません。この場合、一般的に建物の構造は
耐火建築物に限られるため、鉄筋コンクリート造が多くなります。
また、建物の外壁面が隣地や道路から必要以上に離れている建物
が多く見られたら、地区計画や風致地区等の特別制限がかかって
いる地域かもしれません。