「自由設計」でコストがどんどん膨らんで…
思うままに設計でき長い間思い描いていた夢の家ができる!
自由設計という言葉に、希望がふくらみ、住宅会社に次々と
要望を出していきたくなります。
しかし、住宅会社の言われるままに自由に設計をしていくと、
予想以上のコストアップという結果になってしまいます。
家づくりをしていく中で費用が多くかかるのが、内装材より
外装材と言われています。
つまり、外壁や屋根材、基礎のコンクリートなどの費用です。
思うままに間取りを設計し、間取りが複雑になればなるほど、
外装材の費用がかかりコストアップするのです。
コストを押し上げるのには、ふたつの要因があります。
ひとつは、複雑な家のほうが材料費がかさむということ。
もうひとつは、複雑な家のほうが大工さんの手間がかかると
いうことです。
たとえば、外壁のことを考えてみましょう。
仮に64㎡(19坪)の平屋を建築したとします。
同じ64㎡でも、8m×8mの家と、5m×12.8mの家とでは、
外装材にかかる費用がまったく異なります。
前者の家は、8m×4=32m分ですが、後者の家は、
外壁が12.8m×2+5m×2=35.6m分必要になります。
つまり、後者のほうが1割も多く外壁材が必要になるのです。
こういった材料費は、外壁材ばかりでなく、基礎コンクリート、
雨樋などにも反映するので家一軒のコストを大きく押し上げる
のです。
この例は、正方形から長方形になっただけなので、比較的、
差はないのですが、家に凹凸ができるほど材料費はかさんで
きます。凹凸のある家を作ることで使い勝手がよくなったり、
素晴らしいデザインになったりして満足がいくということで
あれば、コストアップも苦にはならないかもしれません。
しかし、多くの場合は、使い勝手がよくなるわけではなく、
家を作る側の自己満足で終わることがほとんどです。
むしろ、家の形が複雑になって強度が低下したり、雨漏りが
したりするなどの弊害が出てこないとも限りません。
又、シンプルな家より複雑な家のほうが手間がかかるのは、
当然のことです。
手間がかかるということは、多くの時間がかかります。
とはいっても、特別よいものができるとは限りません。
かつては、大工さんも複雑な家がどれだけ作れるかにより
技術力を競うところがありました。
しかし、住む側にとっては使い勝手のよい家が一番です。
家づくりでもっともコストがかかるのが大工工事です。
大工さんの手間賃、材木費などは複雑な家では、シンプルな
家の倍かかると考えておくとよいでしょう。
お金を倍出したから、その分、住みやすい家ができるとは
限らないことを覚えておきましょう。