社長ブログ
ひとりの女性が、ある大手ハウスメーカーに新築を依頼
しました。その女性は身長が140㎝と小柄なため、
「小柄な私が使いやすい住宅を造って欲しい」と要望を
出したのですが、そのハウスメーカーは標準通りの家を
建てました。
その結果、洗面所の鏡が見えない、収納に手が届かない、
キッチンが高過ぎて使いにくい・・・等の不具合が生じ、
29ヶ所の瑕疵があるとして損害賠償の裁判を起しました。
裁判では女性の主張がほぼ認められ、ハウスメーカーは
床を上げるなどの手直しをした上で、損害賠償にも応じ
ました。
これは、建築業界では有名な事例で、その後の建て主に
対するスタンスにも少なからず影響を与えました。
おそらく、実際の契約書には女性の身長を配慮した風は
なく、ハウスメーカーとしては契約書通り、つまり理論
的には責任を問われる状況ではなかったものと推測され
ます。
だが、実感としてハウスメーカーに非があることは誰が
見ても明らかであり、どんな理由があっても建て主本位
でなくてはならない家づくりのあり方を裁判所が端的に
示した好例といえます。
現在は、消費者契約法によって、契約内容にかかわらず
消費側が保護される環境が整ってきましたが、それでも
契約書はよく読み込み、もし自分で契約書の内容を理解
するのが難しい場合は、親戚や友人に確認してもらう等、
建て主自身が当事者意識をしっかり持って、自分自身を
守る姿勢が大切です。