ある研究会から発表された報告書に、興味をそそられる
データが掲載されていました。何の調査かといいますと
「住まいの温熱環境の実態と満足度」についてです。
結果を簡単にまとめてご紹介します。
『住まいの温熱環境が良ければ、家族の気持ちや身体に
いい影響を与えると思う』と答えた方が68.2%。
特に女性では76.9%と高い比率になります。又、女性の
比率が高かった回答は以下のようなものでした。
『温熱環境が良くなると、行動量が増えると思う』
『冬暖かい住まいは、家全体を有効に使える』
『住まいの温熱環境は重要だ』
また、この調査では、とても残念な結果も述べられて
います。築年数が古いほど温熱環境満足度が低いことは
容易に予測できます。しかし10年以内に建築した方でも
温熱環境のいい家にできなかった理由が報告されており
ました。その理由としては、
『温熱環境のいい家について知らなかった』
『重視しなかった』をあげる方が多く、それぞれ30%を
超えています。裏を返せば、家づくり全般の優先順位に
おいて、もっとも優先すべきは建築予算ではありますが、
温熱環境においても間取りやキッチンなどの住宅設備と
同様に高い優先順位で予算配分すべき内容であることは
間違いないのです。温熱環境の改善は、部屋の大きさや
直接手に触れるキッチンなどの設備と違い、目で見たり
手で触れたりして感じられるものではありません。
冬暖かく夏涼しいという、ある意味当たり前のことでは
ありますが、その当たり前のことを実現させるためには、
住み手はもちろん、住宅建築会社も、それなりの知識が
必要ということです。
建築業界では、残念なことに未だに温熱環境への理解が
乏しい担当者(営業・設計・工務)がおります。
したがって、これから家を建てる住まい手は、必ずしも
温熱環境への理解に優れた担当者(営業・設計・工務)に
巡り会う保証はありません。だからこそ、良い担当者に
巡り会うためには自分自身で学ぶことはもちろん、その
時々で判断が必要な局面をサポートする立場の者が必要
なのです。